宙組トップ娘役のまどかちゃん(星風まどかさん)、専科への移動が発表されましたね(遅い)。今更ではありますが、考えていたことをつらつらと綴ります。
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「ヒロイン力」と「真ん中力」
宝塚ファンとして色々なファンブログを読み漁る中で、わたしがよくわからないなと思っていた言葉が「ヒロイン力」。娘役さんに使われる言葉です。
あの人はヒロイン力がある、その人はヒロイン力がない……。一体どういう意味?
とても不思議でした。
同じような言葉に「真ん中力」というものがあり、これは男役さんに使われます。
これはわかりやすいですよね。トップとして真ん中に立つにふさわしいかどうか。
実力だけではどうにもならない「真ん中力」。
たとえば花組トップスターのれいちゃん(柚香光さん)は、同期95期の主席であり星組トップスターのことちゃん(礼真琴さん)と比較され、歌唱力不足を指摘されることがあります。
それでもほぼ同時にトップ就任できたのは、その不足を補ってあまりある「真ん中力」、つまりトップとして輝くオーラがあったからなのだというのは、舞台を見ていると理解できます。
誰にでもあるものではないです、「真ん中力」。美しさとはまた違う、舞台人としてのオーラ。歌唱、演技、踊りと、すべてが素晴らしい人でも「真ん中力」が足りなくてトップ就任が遅れたり、はたまたトップになれなかったりする。
対して「ヒロイン力」、昔は「誰が見てもこの人がヒロインだとわかるような華やかさ、美しさ、愛らしさ」なのかなと勘違いしていました。
言葉の意味が理解できたかなと思ったのは、実はまどかちゃんを見るようになってから。
まどかちゃんは音楽学校生の時から「花總まりの再来」とまで言われたスーパースター。
歌、踊り、演技と三拍子揃った娘役(入団時の成績は3番)であるばかりか、愛らしく美しく、華があり、初詣ポスターにも起用されて劇団の期待がひしひしと感じられるようなひと。
そして「ヒロイン力がすごい」と、多くのファンが口にしていました。
同期には音くり寿さん、天彩峰里さんと、とんでもない歌姫や愛くるしい容姿の娘役さんがたくさんいます。その中でも際立つ「ヒロイン力」とは……?
まどかちゃんを見ていて感じたことは、「どの男役さんと組んでもしっくり合う」のみならず、「男役さんをかっこよく見せることができる」という点。
これですよね、ヒロイン力。
宝塚というのはいわばチームワーク、どんなに素敵な男役さんでも、娘役さんがいないと「麗しいひと」止まりです。
娘役さんがいるからこそ、男役さんが男らしく見えるのですから。
そういうことか〜と、まどかちゃんを見ているとよく理解できたのでした。
今回の異動
それで、今回の異動。トップスター真風さんの退団予定もないのにコンビ解消、専科に異動というのは異例です。
もちろん専科異動というのは一時的なもので、多くの人が予想するようにおそらく花組(もしかしたら月組)でのトップ娘役就任予定があるのでしょう。
わたしはトップコンビ解消に「離婚!涙」という悲しい気持ちは特になく……
宙組は真風さん、まどかちゃん、キキちゃん(芹香斗亜さん)のトリデンテが非常に安定していましたから、そろそろメンバーが変わってもいいのかなと納得の気持ちです。
マンネリになる一歩手前というか、真風さんが退団しないのであればこうなるよねと思います。
新しい宙組も、新たなまどかちゃんを見ることも、どちらもとっても楽しみ。
で、やっぱりコロナの影響はあったのかなとも思います。
・コロナで公演予定がうまく立てられないので、新しい版権を買うことはできない
・梅芸が購入した『エリザベート』の版権があるが、梅芸ではもう消費できないので宝塚で代わりに上演することに決定(これは愛読している『ルネサンス』さんのブログに書いてあって、なるほど〜と思った!)
絶対そうですよね。
あと思うのは、芹香斗亜さんがトップになったら必ず『スカーレット・ピンパーネル』を上演する予定のはず。
キキちゃんといえば大の安蘭けいさんファンで星組時代にお手伝いもしていた人。とうこさんのキャリアをなぞるかのように長い長い二番手時代を過ごして、ユーモアのセンスも抜群、金髪も似合う、歌も◯。
ところが『スカピン』版権を買うめどがつかなくなって、宙ぶらりんになっているということもあるのではないかなと。
そうした状況下で、組のリフレッシュ、リバイタライズを図るのは間違いない戦略だと思います。
ひたすら真風さんを立てた宙組公演
まどかちゃんの長期トップ娘在籍予定が昔からあったのかはわかりませんが、なんとなくあったのではないかなと思います。
宙組公演を振り返ってみると、真風さんに重点を置いた公演になっていたなと思うのですね。
真風さんがひたすらかっこよく見える公演を重視するので、星風さんが目立たないなと思うものもあった。
もちろんトップスターがかっこよく見えるというのは、宝塚では何より大切なこと。
ただしまどかちゃんの才能が引き出されない、「添え物」になってしまっているような気がすることもたまにありました(個人の感想です)。
これはまさおさん時代のちゃぴちゃんと似ていて、最初はそういう感じで経験を積んで(長期化となると飽きられないようにという戦略もあるかも)、たま様と組むようになってから与えられる役柄もがらりと変わり、新鮮な娘役像を提示してくれました。
まどかちゃんも、そういう可能性を秘めた娘役さんなのではないかな。
もうなんか『エリザベート』を上演すること前提みたいな書き方になっちゃいましたが笑。
まどかちゃんの『エリザベート』新人公演、今でもよく録画してあるのを見返します。
トートはもえこちゃん(瑠風輝さん)、ルキーニは和希そらさん。
歌える人ばかりで耳福。素晴らしい公演でした。
まどかちゃんは、フランツと結婚してからゾフィーにいじめられ、寝室で一人涙するシーンがすごく印象に残っています。
ここで流す涙のいじらしさ。
辛いことがたくさんあったんだな、、、と思わせる、こちらの心まで痛くなるような涙なんです。
わたしはエリザベートって結構苦手で笑、わがまま女だし、皇室に入るならこんなこと予測していて当たり前でしょ!って思っている方なのですが、あのまどかちゃんの演技は本当に素晴らしくて、その孤独や悲しみをひしひしと感じるのです。
だからぜひまたエリザベートを演じてほしいです。
いや〜どうなる宝塚人事。